にわかな日々

文章の練習。好きなものを紹介します。

2024年1月

先日、新聞1面のコラム欄で「病馬のように 年にプログラムを負わせてはいけない あまり重荷を負わせると しまいには へたばる」という言葉を見かけた。自分にとって高すぎる目標を立てて潰れてしまう人は古今東西を問わずにいるようだ。私は毎年目標を立てては三日坊主に終わるタイプであるので、この作家の言葉に親近感を覚えてしまった。そんな私が懲りずに立てた今年の目標は「こまめに日記をつける」ことだった。労働者としての生活に慣れてきたこともあり、流れるように日々を過ごしてしまっていることへの反省が現表れたものだ。だが結局は、大抵の日記と同じように「今日から日記をつけることにしよう」が最終行となってしまっているのだった。

しかし、日記こそつけてはいないものの、1月は充実した期間であった。「節約をやめようキャンペーン」と「土曜日の午前中は外に出ようキャンペーン」を実施したことで、何もせず週を終えるということが無くなったのが良かったのだろう。また、1月は他者からの誘いにも恵まれ、自分一人では出来ないことにも触れられたことも大きかったのだと思う。

「日記をつける」という目標は、日々を無為に過ごさないための手段でしかない。そう考えてみれば、今年のスタートはそう悪いものでもなかったのかもしれない。

読んだ本

銀河英雄伝説』 1〜3(田中芳樹

題名は知っていたものの読んだことのなかった作品の1つ。職場の方に勧められて読んだが、あっという間に魅力的な世界の虜になってしまった。歴史書のような硬い語り手の文体と荒々しくも美しいキャラクター達のセリフが、叙事詩のような魅力を作り出しているのだと思う。宇宙艦隊同士の決戦が、遮蔽物の無い宇宙空間が戦場であるからか、近代ヨーロッパを思わせる三兵戦術のような形式に立ち返っているのも、そのような印象を受けた一因だろう。

SFらしく固有名詞は多めだが、話のテンポが良いことからどんどん読み進められている。全10巻とかなりのボリュームだが、どちらかといえば、あと7巻もあることを嬉しく感じている。続きを読むのが楽しみだ。

訪れた場所

埼玉県立近代美術館

知人からチケットをいただき、『イン・ビトウィーン』を観にいった。「Between」という語のとおり、境界の狭間がテーマの展示だった。主に四人の作家に焦点を当てた展示であったが、経歴や関連する作家の作品が並べられていることで、それぞれの「狭間」について考えさせられる良い展示だったと思う。

特に印象に残ったのは藩逸舟とジョナス・メカスの2人。藩逸舟は中国で生まれ日本で育った作家で、幼少期の心象風景を窓の向こうに表現した『家を見つめる窓』と、海辺に立って波を掃いている人を撮影した『波を掃除する人』が良かった。ジョナス・メカスは戦争でリトアニアを追われアメリカに亡命した作家で、短い映像を繋ぎ合わせた日記のような映画形式の作品が特徴。亡命先アメリカの街路を撮影した『williamsburg, brooklyn』は、街の人々の笑顔がチカチカと移り変わる作品で、異国での生活の中で幸せを見つけようとしているような印象を受けた。